経験者採用の退職理由、面接でどう答える?本音を活かす整理の仕方
「退職理由、正直に言ったら印象が悪くなりそう。」
面接カードや志望動機と並んで、多くの人が身構えるのがこの質問だと思います。
僕は元消防士として15年働き、その後市役所勤務も経験しました。消防に勤めながら独学で半年ほど準備をして、市役所の採用試験に一度で合格しました。今は働きながらの公務員受験について、調べたことや自分の経験を発信しています。
この記事では、経験者採用・社会人枠の面接で聞かれる退職理由について整理します。面接官が見ているポイント、本音を前向きな言葉にする型、NG例、志望動機との一貫性の作り方までお伝えします。
なお、この記事は「なぜ今の職場を辞めるのか」に絞って書いています。「なぜこの自治体を選ぶのか」という志望動機の作り方は、別記事で詳しく整理しているので、そちらもあわせてどうぞ。
この記事でわかること
- 退職理由で面接官が実際に見ているもの
- 本音を隠さずに前向きな言葉へ整理する型
- 退職理由でよくあるNG例
- 志望動機との一貫性の作り方
- 練習の仕方
結論:本音を隠す必要はない。ただし「不満」で止めると落ちる
先に結論を書きます。退職理由で本音を隠す必要はありません。人間関係、給料、将来性、激務、やりがい。どんな理由であっても、それ自体が不合格の原因になるわけではありません。
問題になるのは、理由が「不満」のまま止まっていることです。「今の職場が嫌だから辞めたい」で終わってしまうと、面接官には「では公務員なら本当に大丈夫なのか」という疑問が残ります。
本音を、前向きな言葉に変換する。これができれば、退職理由は弱点ではなく、志望動機を補強する材料になります。
面接官が退職理由で見ているもの
面接官が退職理由を聞くとき、確認しているのはだいたい次の2点です。
同じ理由でまた辞めないか(再現性)
人間関係のこじれや、上司との相性、残業の多さといった理由は、どんな職場でも起こりうることです。前職の退職理由がこれらだった場合、「公務員になっても同じ理由で辞めるのではないか」と見られやすくなります。だからこそ、「同じ状況になっても、今度は乗り越えられる」と思わせる伝え方が必要です。
他人のせいにしていないか(主体性)
退職に至る経緯を、会社や上司のせいだけにしていないかどうかも見られています。事実として職場に原因があったとしても、それを一方的に語るのは避けたほうがいいです。自分がどう考え、どう動いたかまで含めて話せると、印象は大きく変わります。
この2点は、一般的な転職面接でもよく指摘されるポイントです(出典:doda 退職理由の答え方、2026年7月時点)。公務員の経験者採用でも、基本的な見られ方は同じだと考えておくといいと思います。
よくある本音を、前向きな言葉に翻訳する
ここからは、退職理由としてよくある5つのパターンを、事実を変えずに前向きな面へ翻訳する型として整理します。あくまで一般的によくある例であって、特定の誰かの体験ではありません。
人間関係
本音:「上司や同僚と合わなかった」
前向きな面への翻訳:立場の違う人とも信頼関係を築きながら、チームで成果を出せる環境で働きたい、という軸に置き換えます。前職の人間関係そのものには触れず、「これからどう働きたいか」だけを語るのが安全です。
給料・待遇
本音:「給料が上がらなかった」
前向きな面への翻訳:目先の業績に左右されず、長期的な視点で一つの地域に関わり続けたい、という軸に置き換えます。待遇そのものを動機として語るのは避け、「長く貢献するための土台」として触れる程度にとどめます。
将来性への不安
本音:「業界や会社の将来が不安だった」
前向きな面への翻訳:これからも地域に必要とされ続ける仕事で長く力を尽くしたい、という軸に置き換えます。前職の業界や会社を否定する言い方は避け、「自分がどこで長く貢献したいか」の話に寄せます。
激務・残業
本音:「忙しすぎて続けられなかった」
前向きな面への翻訳:一つひとつの仕事に丁寧に向き合える働き方で、長く貢献したい、という軸に置き換えます。「公務員は楽そうだから」に聞こえる言い方は逆効果なので、「楽」ではなく「長く・丁寧に」を軸にするのがコツです。
やりがいの喪失
本音:「やりがいを感じられなくなった」
前向きな面への翻訳:数字よりも、誰かの暮らしが良くなることに直結する仕事に力を注ぎたい、という軸に置き換えます。「やりがいがなかった」と過去を否定するのではなく、「自分は何にやりがいを感じるか」を語る形にするのがコツです。
理由が複数思い浮かんだ人もいると思います。その場合は、いちばん本音に近いものを1つ選んで軸にしてください。残りは薄く混ぜる程度にしておくのがおすすめです。理由を並べるほど、面接では「不満の羅列」に聞こえやすくなります。
NG例
翻訳する前に、避けたほうがいい話し方も確認しておきます。
- 前職・上司・同僚の悪口:「会社が」「上司が」を主語にした不満は、それだけで印象を下げます
- 待遇や休みだけの動機:「安定しているから」「休みが取りやすいから」だけで終わる話
- 受け身の表現:「させてもらえなかった」「してくれなかった」という言い回し
- 「公務員は楽そうだから」に聞こえる言い方:部署によっては公務員も忙しいので、この印象は避けたいところです
- たたき台の丸暗記:この記事のような型をそのまま覚えて話すこと。自分の言葉になっていないと、深掘り質問で必ず崩れます
どれも共通しているのは、事実を偽っているわけではないのに、伝え方だけで損をしているという点です。逆に言えば、伝え方さえ整理すれば、その損は防げるということでもあります。
志望動機との一貫性を確認する
退職理由を整理できたら、必ず確認してほしいことがあります。それは、退職理由と志望動機が同じ方向を向いているかどうかです。
たとえば、「地道な積み重ねが評価される仕事がしたい」という軸で退職理由を語ったとします。志望動機では別の軸で公務員を志望していたら、聞いている側には一貫性のなさとして伝わってしまいます。
退職理由は「離れる理由」、志望動機は「向かう理由」です。この2つが1本の線でつながっているかどうかを、書き終えたあとに読み返して確認してみてください。志望動機そのものの作り方は、別記事で詳しく整理しています。
▶ 関連記事:社会人枠の志望動機の作り方|転職理由から一貫性のある動機へ
練習方法
言葉として整理できても、話すとなるとまた別の難しさがあります。練習のコツを2つ挙げておきます。
- 声に出して話してみる:頭の中で考えているだけだと、書いた文章の丸暗記になりがちです。実際に声に出すと、不自然な言い回しに自分で気づけます
- 「具体的には?」と聞かれる前提で準備する:面接官は、抽象的な答えに対して必ず深掘りしてきます。今の答えに、自分の経験からくる具体的な場面を1つ足せるかどうかを確認しておくと安心です
一人で練習するのが難しければ、模擬面接の場を使うのも一つの手です。
おわりに
退職理由は、隠すものでも、飾るものでもありません。同じ事実の、どの面に光を当てて語るかを整理する作業です。
不満のまま止めるのではなく、「それでもこう働きたい」という前向きな軸まで言葉にできれば、退職理由は弱点ではなく、あなたらしさを伝える材料に変わります。
今の職場で過ごしてきた時間には、ちゃんと意味があります。
いま、あなたの退職理由の裏にある「本当はこう働きたい」は、どんな言葉になりそうですか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
自分の場合で試してみる
本音の退職理由を選ぶと、面接で使える前向きな言い換えのたたき台を出せるワークシートを作りました。入力内容はどこにも送信されません。
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