民間から公務員に転職すると給料は下がる?初任給の決まり方と職歴加算をわかりやすく解説

民間から公務員への転職|給料・初任給・職歴加算
あにたろ

「公務員に転職すると、給料は下がるらしい」。そんな話、一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

僕は元消防士として15年働き、その後市役所勤務も経験しました。ふたつの「公務員」の世界を見てきたなかで、お金の質問はいつも多いテーマです。

この記事では、国家公務員(国家一般職)の初任給がどう決まるのか、民間企業での職歴がどう反映されるのかを、給与法や人事院規則といった一次資料をもとに整理します。

この記事でわかること

  • 民間から公務員への転職で、給料が下がるかどうかを左右する要素
  • 公務員の初任給がどういう仕組みで決まるのか
  • 民間での職歴が、どのくらい給料に上乗せされるのか
  • 年収のイメージをどう作ればいいか
  • 給料が下がりやすい人・下がりにくい人の分かれ目

結論:下がるかどうかは「職歴加算」で決まる

先に結論から言うと、民間から公務員に転職したからといって、必ず給料が下がるわけではありません。

逆に、必ず上がるという話でもありません。

答えは「職歴加算がどれだけ効くか」で決まります。これまでの職務経験が採用先の仕事にどれだけ関係しているか、そして何年分をカウントしてもらえるかによって、初任給には大きな差が出るからです。

少なくとも、新卒者とまったく同じ額からスタートするわけではないということは、最初に知っておいてください。

初任給の決まり方の仕組み

まず、公務員の給料がどういう仕組みで決まるのかを、ざっくり押さえておきましょう。

国家公務員の給料は「俸給表(ほうきゅうひょう)」という表で決まります。仕事の種類ごとに用意された、いわば給料の早見表のようなものです。

事務系の職員であれば「行政職俸給表(一)」という表が使われます。この表は「級」で仕事の重さの段階が分かれ、さらにその中に「号俸(ごうほう)」という細かい目盛りがあります。号俸が1つ上がるごとに、月給が少しずつ上がっていくイメージです。

民間企業での職歴がまったくない新卒者の場合、次の号俸からスタートします。

学歴格付け初任給の目安
大学卒行政職俸給表(一) 1級25号俸232,000円
高校卒行政職俸給表(一) 1級5号俸200,300円

出典:一般職の職員の給与に関する法律 別表第一(令和7年人事院勧告後)/人事院規則9-8 別表第二(2026年7月時点)

https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000095

短大卒・専門卒については、国が公表している初任給の区分自体が存在しません。この記事では、公表値がある大卒・高卒のケースだけを扱います。

なお、多くの自治体は国の俸給表に準拠していますが、東京都のように独自の給料表を持つ自治体もあります。自治体を受ける場合は、あくまで目安として読んでください。

職歴加算の実際:1年でどのくらい上乗せされるのか

民間企業などでの職務経験がある場合、その経験年数に応じて号俸が上乗せされます。これが「職歴加算」です。

加算の目安は、経験年数1年につき4号俸。人事院規則9-8の第15条と別表第七の四イに、この計算方法が定められています。

ただし、経験のすべてが同じ扱いになるわけではありません。

  • 採用後の仕事に直接役立つと認められる職歴:満額(100/100)で換算されます
  • それ以外の職歴:「100/100以下」という裁量の範囲に収まります

「関連しない職歴は8割で換算される」という話をよく見かけますが、これは規則が固定した数字ではありません。あくまで運用上の目安のひとつで、実際の換算率は自治体や任命権者の判断によります。8割前後というラインは、その裁量の範囲内に収まる一例だと考えてください。

出典:人事院規則9-8 別表第四(2026年7月時点)

https://laws.e-gov.go.jp/law/344RJNJ09008000

年収イメージの作り方

号俸が上がると、実際にはどのくらい月給が変わるのでしょうか。

行政職俸給表(一)の1級を見ると、1号俸あたりの差額はおおむね900円〜1,650円程度の幅があります。上位の号俸ほど、1号俸あたりの差は小さくなる傾向です。

4号俸(経験1年分)で計算すると、1年あたりの上乗せ額はだいたい3,600円〜6,600円というレンジになります。

これをもとに、大卒基準で職歴の年数別に月額を試算すると、次のようになります。

関連職歴の年数加算号俸月額の目安
4年16号俸約246,400円〜258,400円
8年32号俸約260,800円〜284,800円
12年48号俸約275,200円〜311,200円

※あくまで大卒・関連職歴100/100換算の場合の目安です。役職段階によっては、この試算を超えるケースもあります。

年収のイメージは、月額に賞与と地域手当を加えて作ります。

  • 賞与(期末・勤勉手当):年4.65ヶ月分(令和7年人事院勧告)
  • 地域手当:0〜20%の段階制。東京23区が最大の20%です

月額×(12+4.65)で、地域手当なしの場合のおおよその年収が出ます。先ほどの「大卒+関連職歴8年」の例だと、次のようなイメージです。

ケース年収の目安
地域手当なし約434万円〜474万円
東京23区(地域手当20%)約521万円〜569万円

実際の年収には、扶養手当や住居手当なども別途加わります。この試算はあくまで単純化した目安として見てください。

出典:人事院 令和7年人事院勧告/給与法第11条の3(2026年7月時点)

https://www.jinji.go.jp/seisaku/kankoku/archive/r7/r7_top.html

下がる人・下がりにくい人の分かれ目

ここまでの仕組みを踏まえると、給料が下がりにくい人と、下がりやすい人の傾向が見えてきます。

下がりにくい人

  • 今の仕事と直接関係する職歴が長く、満額換算されやすい人
  • 地域手当の割合が高いエリアで採用される人
  • 今の勤め先の賞与が不安定、またはもともと少ない人

下がりやすい人

  • 現在の給料に、役職給や歩合給などが大きく含まれている人
  • これまでの職歴が、志望先の仕事とはあまり関係のない分野である人
  • 今の勤め先で、すでに高水準の賞与を安定してもらっている人

とはいえ、これはあくまで傾向です。断定できることではありません。

一番確実なのは、志望先の募集要項を確認し、自分の職歴を当てはめて試算してみることです。学歴と経験年数を入力するだけで目安が出せるツールも作っているので、気になる方はよければ使ってみてください。

※このツールは近日、当ブログで公開予定です。公開したら、この記事にもリンクを追加します。

お金以外の要素も見る

給料だけで比べると、見落としてしまうものもあります。

残業代の扱いは自治体によって差がありますが、超過勤務手当が制度としてきちんと出るところもあります。住居手当や扶養手当など、月給には表れない手当も無視できません。

賞与が年4.65ヶ月分と決まっていること、雇用が安定していることも、数字だけでは測れない安心材料です。逆に、今の会社の福利厚生や昇進スピードのほうが優れている場合もあるでしょう。

お金は大事な判断材料のひとつですが、それがすべてではありません。両方の面から、じっくり比べてみてください。

よくある質問

Q. 短大卒・専門卒の場合、初任給はいくらになりますか?

国が公表している短大卒・専門卒の初任給区分は存在しません。この記事では扱わず、志望先の自治体に直接確認することをおすすめします。

Q. 自治体によって初任給の計算は違いますか?

多くの自治体は国の俸給表に準拠していますが、独自の給料表を持つ自治体もあります。この記事の試算は国家一般職を基準にした目安です。

Q. 職歴加算は必ず経験年数×4号俸になりますか?

人事院規則9-8で定められた計算方法ですが、実際の格付けは学歴や職種、自治体の裁量によって変わります。あくまで目安として捉えてください。

Q. 給料が下がっても公務員に転職する価値はありますか?

それは人それぞれです。安定性や手当、働き方など、お金以外の判断材料もあわせて考えることをおすすめします。

おわりに

「給料が下がるかもしれない」という不安を抱くのは、自然なことだと思います。

でも、仕組みを知ってしまえば、漠然とした不安は「自分の場合はどうなりそうか」という具体的な見通しに変わります。

あなたのこれまでの職歴は、今の仕事とどのくらい関係していますか。一度、その視点で棚卸ししてみるのもいいかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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