社会人枠の基礎

民間から公務員になると給料は下がる?初任給・職歴加算と非正規の職歴の扱い

民間から公務員への転職|給料・初任給・職歴加算
あにたろ

※本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)が含まれます。

「民間から公務員に転職したら、給料が大きく下がるのでは?」

住宅ローンや子どもの教育費がある人ほど、仕事内容より先に年収が気になりますよね。当然です。僕も消防士として15年働いて、そのあと市役所勤務を経験しました。転職前にお金の見通しを立てる大切さは、よく分かるんです。

民間から公務員になったとき、初任給はどう決まるのか。どんな人が下がりやすいのか。公的資料をもとに整理していきます。

最初に結論

給料が下がる人はいます。しかし、民間から公務員になると必ず下がるわけではありません。

  • 前職の年収がそのまま引き継がれる制度ではない
  • 初任給は給与表、採用区分、職歴の評価、地域手当などで決まる
  • 比較するときは月給ではなく、賞与と手当を含む年収で見る
この記事の目次
  1. 民間から公務員になると給料は下がる?
  2. 給料が下がることがある3つの理由
  3. 公務員の初任給はどう決まる?
  4. 職歴加算で確認すべき5項目
  5. 非正規の職歴は加算されるのか。「されない」と書いた条文はありませんでした
  6. 月給だけではなく年収で比較する
  7. 給料が下がりやすい人
  8. 給料が下がりにくい・上がる可能性がある人
  9. 20代・30代・40代で見るポイントは違う
  10. 転職前にやるべき5ステップ
  11. 給料が下がっても転職する価値はある?
  12. よくある質問
  13. 参考にした公的資料
  14. 給料の見通しが立ったら次に読む記事
  15. まとめ

民間から公務員になると給料は下がる?

答えは、前職の年収と、採用先が決定する初任給との差で決まります。

公務員の給料は「前職で年収500万円だったから、500万円を保証する」という決まり方ではありません。国なら俸給表、自治体なら各団体の給料表を基礎に、採用される職務の級・号給や過去の経験などを反映して決まります。

転職前の状況給料の傾向
歩合給・役職手当・残業代の割合が大きい下がりやすい
前職の賞与が高水準年収が下がる可能性がある
20代で前職年収がまだ高くない維持・上昇する場合がある
採用後の仕事に近い実務経験が長い職歴が初任給に反映される可能性がある
地域手当の支給割合が高い地域で働く総支給額が高くなりやすい
あくまで一般的な傾向です。最終的な給与決定は採用先ごとに異なります。

給料が下がることがある3つの理由

1.前職年収ではなく給与表を基準にするから

民間企業の給料は、業界、会社規模、成果給、役職などで差が大きく開きます。公務員はそうではなく、職種ごとの給与表と、職務の級・号給に沿って決まる仕組みです。

そのため、民間で高い役職に就いていた人や、インセンティブ収入が多かった人は、公務員への転職直後に下がりやすくなります。

2.民間経験がすべて同じ割合で評価されるとは限らないから

過去の職歴は、初任給決定の際に考慮される場合があります。一般に「職歴加算」「経験年数換算」と呼ばれる仕組みです。

ただし、勤務先・雇用形態・勤務期間・仕事内容・採用後の職務との関連性などの扱いは、国と自治体、さらに採用区分によって異なります。ネットでよく見かける「経験1年につき必ず○号給」という計算は、すべての自治体には当てはまりません。

3.残業代や成果給が減る場合があるから

前職の月給に固定残業代、深夜手当、営業インセンティブなどが多く含まれていると、基本給だけを比べても実態は分かりません。公務員にも超過勤務手当などがありますが、配属先や実際の勤務時間で金額は変わります。

公務員の初任給はどう決まる?

公務員の給与は、基本となる給料(国家公務員では俸給)に、要件に応じた手当を加えて構成されます。人事院も、国家公務員の給与を「俸給(基本給)と、それを補完する諸手当」で構成すると説明しています。

項目確認する内容
給料月額・俸給月額適用される給料表、職務の級、号給
職歴の反映過去の勤務年数や職務内容がどう評価されるか
地域手当勤務地に応じた支給割合
各種手当通勤、住居、扶養、超過勤務などの支給要件
期末・勤勉手当いわゆるボーナス。基準日や在職期間で初年度は変わる

国家公務員の中途採用:経験5年の給与例

人事院の中途採用Q&Aでは、5年程度の経験年数がある場合の俸給額の参考例を月28万300円(令和8年4月1日時点)としています。東京特別区内に勤務する場合は地域手当20%、期末・勤勉手当は年間約4.65月分という例も示されています。

これは国家公務員の一例です。地方自治体では条例・規則や採用区分が異なるため、そのまま自分の給与額にはできません。

また、人事院は2025年4月、採用後の職務に直接役立つと認められる経験期間を100/100で換算して初任給へ反映することを基本とする見直しを行いました。だから職歴は、「長さ」だけでなく採用後の業務との関連性も見ておきたいんです。

たとえば東京都の採用案内には、民間などの職歴がある場合、一定の基準により初任給へ加算される場合があると書かれています。扶養手当、住居手当、通勤手当、超過勤務手当なども、要件に応じて支給されます。

注意:合格前に初任給が確定しないこともあります

募集要項の金額はモデル例や基準額であることが多く、最終額は学歴・職歴証明書などを確認した後に決まる場合があります。生活設計では「募集要項の上限額」で決め打ちせず、少し低めのケースも試算しておきましょう。

職歴加算で確認すべき5項目

  1. どの期間が対象か:卒業後の職歴、受験資格に使った職歴など、基準日を確認します。
  2. 雇用形態と勤務時間:正社員、契約社員、パートなどの扱いは採用先の規定で異なります。
  3. 仕事内容の関連性:採用後の職務に近い経験がどのように評価されるかを確認します。
  4. 重複期間の扱い:副業など、複数の勤務が重なる期間を二重に数えるとは限りません。
  5. 証明書類:在職証明書や職歴証明書を提出できなければ、期間を算入できない場合があります。

最も確実なのは、志望先の人事・採用担当へ「初任給決定で職歴はどのように扱われますか」と確認することです。受験前に個別金額までは回答されない場合でも、規則名や一般的な考え方を教えてもらえることがあります。

非正規の職歴は加算されるのか。「されない」と書いた条文はありませんでした

「派遣で働いていた期間は、どうせ数えてもらえないですよね」。そう思って最初からあきらめている方がいます。ですが規則を読むと、話が違いました。

国の規則にも、僕が確認した自治体の規則にも、「非正規だから加算しない」と書いた条文はありませんでした。そもそも制度は、雇用形態の名前で線を引いていないのです。

国の規則に「非常勤」「パート」「派遣社員」という言葉は1つも出てこない

初任給を決めるときの職歴の扱いは、国の場合人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)の別表第四「経験年数換算表」で決まっています。

この規則と、その運用を定めた人事院の通知(給実甲第326号)の全文を検索してみました。結果はこうです。

探した言葉規則本体運用通知
非常勤0件0件
臨時的任用0件0件
会計年度任用0件0件
パート0件0件
アルバイト0件0件
派遣社員0件0件

1つも出てきません。つまり国の制度は、正社員かどうかで職歴を仕分ける作りになっていないわけです。

線を引いているのは「常勤と似た働き方だったか」

では何で決まるのか。別表第四で満額(100/100)が当たるのは、次の条件がついた期間です。

職員としての職務にその経験が直接役立つと認められる職務に従事した期間(常時勤務に服する者として職務に従事した期間又はこれに準ずる期間に限る。)

人事院規則九―八 別表第四 経験年数換算表(第十五条の二関係)

ポイントは「これに準ずる期間」です。この言葉の意味を、運用通知がはっきり定義していました。

常時勤務に服する者以外の者であって勤務形態等が常時勤務に服する者と類似するものとして職務に従事した期間をいう

人事院規則9―8の運用について(給実甲第326号)経験年数換算表関係 第2項

「常時勤務に服する者以外の者」とは、正社員や常勤職員ではない人のことです。その人でも、働き方が常勤と似ていれば満額の枠に入る、と書いてあります。

では似ていなかった場合はどうなるか。ゼロになるのではなく、下の区分に移って率が下がるだけでした。

経歴換算率
採用後の職務に直接役立つ職務で、常勤またはこれに準ずる働き方だった期間100/100
同じ在職期間のうち、上に当てはまらない期間100/100以下
学校などに在学していた期間(正規の修学年数内)100/100以下
その他の期間のうち、職務に直接役立つ職務に従事した期間100/100以下
その他の期間のうち、それ以外25/100以下

ここで見落としてはいけないのが「以下」という書き方です。これは上限を決めているだけで、実際に何割を当てるかは条文に書かれていません。採用する側の判断に委ねられています。ですから「非正規なら必ず5割」といった言い方も、正確ではないのです。

計算は月単位。1か月に複数の経歴が混ざるときは有利なほうが採られる

もう1つ、知っておくと安心できる規定があります。

経験年数の計算は、月を単位として行うものとする。この場合において、一の月に換算率の異なる2以上の期間があるときは、最も有利な換算率によるものとする。

人事院規則9―8の運用について(給実甲第326号)第15条の2関係 第2項

転職の合間や掛け持ちで、1か月の中に条件の違う経歴が重なることがあります。そのときは有利なほうで数える、と決まっているわけです。

自治体はどう答えているか

自治体の採用ページで、この疑問に正面から答えている例がありました。つくば市のよくある質問です。

前職の経験はリセットされてしまいますか?
前職が公務員か民間企業勤務であったかを問わず、その経歴は初任給に加算されるので安心してくださいね(雇用形態が正規か非正規かにより多少異なります)。

つくば市 職員採用 よくある質問

「加算される」と言い切ったうえで、「雇用形態により多少異なる」と添えています。ゼロか満額かの二択ではない、という国の建て付けと同じ言い方です。

金額まで公開している例もあります。大阪市が市民からの質問に答えた回答(2026年5月14日回答)では、換算のレートが具体的に示されていました。

  • 大学卒程度の試験区分で採用された事務職員の初任給基準は1級27号給
  • 民間企業等の同種職務に2年間(24月)従事した場合、24月を3月で除した8号給を加算
  • その結果1級35号給となり、給料月額は220,100円
  • 地域手当を反映した初任給は255,316円

大阪市の場合は3か月で1号給という計算になります。出典は大阪市「大阪市職員の初任給について」です。ただしこれは令和7年度の採用試験要綱の公開時点が基準なので、年度が変われば額そのものは変わります。

国が基準を示していない部分がある

正直に書いておきたいことがあります。会計年度任用職員として働いた期間を、その後に常勤職員として採用されたときどう換算するか。ここについて国の統一基準は見つかりませんでした。

総務省の「会計年度任用職員制度の運用に係る事務処理マニュアル」とそのQ&Aを全文検索しましたが、「前歴」も「経歴の換算」も0件でした。ここは、各自治体の判断に任されています。

だからこそ、志望先に直接聞く価値があります。聞き方は「初任給の決定で、非常勤やパートの期間はどう扱われますか」。規則名まで教えてもらえれば、例規集で自分の目で確認できます。

ここまでをまとめると、判断のしかたはこうなります。

  • 雇用形態の名前だけで、加算されないと決めつけない
  • 見るべきは「常勤と似た働き方だったか」と「採用後の職務に直接役立つか」
  • 率は上限しか決まっていないので、必ず○割という計算はできない
  • 会計年度任用の期間の扱いは自治体ごとに違う。志望先に確認する

月給だけではなく年収で比較する

転職で損をしないためには、求人票の「月額」だけで判断しないことが大切です。次の項目を、現在の会社と志望先で横並びにしてください。

比較項目民間の現職公務員の想定
年間の基本給給与明細・源泉徴収票給料月額×12か月
賞与直近2〜3年の実績募集案内・給与条例を確認
残業代・成果給年間実績含めずに保守的に試算
地域・住居・扶養等の手当現在の支給額自分が要件を満たすものだけ加算
通勤費自己負担分も確認支給上限と経路を確認
初年度の賞与退職時期で変動採用月・在職期間で満額にならない場合あり

比較式はシンプルです。

想定年収 = 給料月額×12 + 賞与 + 支給条件を満たす手当

ただし、賞与は単純に「給料月額×公表月数」で一致するとは限りません。算定基礎、役職、在職期間などが関係するため、最終判断では採用先の案内を優先してください。

給料が下がりやすい人

  • 30代・40代で民間の管理職になり、役職手当が大きい
  • 営業職などでインセンティブの比率が高い
  • 残業や夜勤が多く、時間外手当が年収を押し上げている
  • 前職の賞与が高い、または業績連動賞与が大きい
  • 職歴と採用後の職務の関連が薄い
  • 地域手当が少ない地域へ転職する

このタイプは、転職直後の年収だけでなく、3年後・5年後の昇給と生活費まで含めて判断する必要があります。

給料が下がりにくい・上がる可能性がある人

  • 20代で、民間の給与がまだ高くない
  • 前職の賞与が少ない、または業績で大きく変動する
  • 採用後の職務に近い専門経験がある
  • 経験者採用で、一定の職位・職務に採用される
  • 地域手当や住居手当などの要件に該当する

近年は公務員の初任給や若年層給与の見直しも進んでいます。たとえば人事院は令和7年の給与改定で、国家公務員の初任給を引き上げています。ただし、これは国家公務員の例です。地方公務員は、各自治体の条例・規則を確認してください。

20代・30代・40代で見るポイントは違う

20代:初任給より、伸び方と試験区分を確認

若いほど前職との給与差は小さくなりやすい一方、新卒区分と経験者区分のどちらを受けるかで採用後の扱いが変わることがあります。年齢だけでなく、必要な職務経験年数も確認しましょう。

30代:家計への影響を年額で確認

住宅費や教育費が増えやすい年代です。初年度の賞与が満額でない場合も想定し、手取りが月2万〜3万円下がっても耐えられるか、固定費から確認しておくと安心です。

40代:役職・退職金・昇任まで含めて確認

民間での役職や年収が高いほど、短期的には下がる可能性があります。採用時の職位、昇任の考え方、定年までの勤続年数、退職手当の見込みまで含めて比較しましょう。

転職前にやるべき5ステップ

  1. 源泉徴収票から現在の年収総額を確認する
  2. 志望先の最新の募集要項で初任給例を探す
  3. 給与条例・初任給規則・採用FAQを確認する
  4. 自分が対象になる手当だけを足す
  5. 低め・標準・高めの3パターンで年収を試算する

給料が下がっても転職する価値はある?

年収が少し下がるだけで「転職は失敗」とは限りません。休日、通勤時間、転勤範囲、雇用の安定、仕事内容、家族との時間なども生活の満足度に影響します。

一方で、生活が成り立たないほどの年収減を、安定性だけで正当化するのは危険です。毎月の手取り、年間貯蓄額、緊急予備資金を確認し、「どこまでなら下がっても受け入れられるか」を先に決めてください。

よくある質問

前職の給料は保証されますか?

原則として、前職年収をそのまま保証する仕組みではありません。採用先の給与表、職務の級・号給、職歴の扱いなどで決まります。

民間の職歴はすべて加算されますか?

すべてが同じ割合で算入されるとは限りません。採用先の規則、職務との関連性、雇用形態、勤務時間、証明書類などによって扱いが異なります。

募集要項の初任給例は手取りですか?

通常は税金や社会保険料などを差し引く前の金額です。地域手当を含むかどうかも募集要項ごとに違うため、注記まで確認してください。

初年度のボーナスは満額ですか?

採用日や基準日までの在職期間によって、満額にならない場合があります。初年度だけ年収が低く見えることがあるため、2年目の見込みと分けて試算しましょう。

参考にした公的資料

※給与制度や金額は改定されます。この記事は2026年8月14日に公表情報を確認しています。受験時は、必ず志望先の最新の募集要項・条例・規則をご確認ください。

まとめ

民間から公務員になると給料が下がるかどうかは、前職年収と、採用先が給与表・職歴・手当などから決める金額の差で決まります。

大切なのは「公務員なら安定しているから大丈夫」と考えることではなく、最新の募集要項を使って自分の年収を試算することです。月給、賞与、手当、初年度の在職期間を分けて確認すれば、漠然とした不安を具体的な判断材料に変えられます。

▶ 関連記事:消防士から市役所へ。手取りは26万から24万になりました|給料と休みの実数

📘 このブログの内容を、1冊の本にまとめました

『仕事を辞めずに、公務員になる。』

残業だらけの消防士だった僕が、働きながら半年で市役所に受かるまでの全手順を1冊にまとめています。

Amazonで見てみる(Kindle)

スポンサーリンク
記事URLをコピーしました