在職中の公務員試験はバレる?在職照会の仕組みと伝える順番の作り方
「在職中に公務員試験を受けて、もし職場にバレたらどうしよう。」
受験を考え始めた人が、最初にぶつかる不安だと思います。
僕は元消防士として15年働き、その後市役所勤務も経験しました。消防に勤めながら独学で半年ほど準備をして、市役所の採用試験に一度で合格しました。今は働きながらの公務員受験について、調べたことや自分の経験を発信しています。
この記事では、在職中に公務員試験を受けることが実際どのくらい特別なことなのか、職場に伝わる経路、在職照会という仕組みを整理します。そのうえで、合格発表から退職までの「伝える順番」の作り方までお伝えします。
この記事でわかること
- 在職中の受験がバレることへの不安との向き合い方
- 職場に情報が伝わる主な経路(在職照会・噂・住民税の手続き)
- 在職照会とはどういう仕組みか
- 合格発表から退職までの逆算タイムライン
- 誰に、いつ、何を伝えるかの考え方
- 嘘をつかずに乗り切るための原則
結論:在職中の受験は普通のこと。順番だけ設計しておく
先に結論から書きます。在職中に公務員試験を受けること自体は、まったく特別なことではありません。
経験者採用(社会人枠)は、そもそも今の仕事を続けながら受験する人を前提に作られた制度です。募集要項のスケジュールも、平日の仕事を終えた後や休日に対応できる形で組まれていることが多いです。だから、こそこそする必要はありません。
ただし、気をつけたほうがいいことが一つだけあります。それは「いつ・誰に・どう伝えるか」という順番です。
ここを行き当たりばったりにすると、自分の意図と違う形で情報が伝わってしまい、職場との関係がこじれることがあります。逆に言えば、順番さえ先に決めておけば、あとは落ち着いて進められます。
なぜ「バレるのが怖い」と感じるのか
受験を考え始めると、頭の中はこんな不安でいっぱいになると思います。
- 今の職場に気まずくなったらどうしよう
- 落ちたときに「受けていたこと」だけが残ってしまったら気まずい
- 急に態度が変わったと思われたくない
- 誰かから伝わって、本人の口から言えないまま噂が広がったら嫌だ
僕自身も、受験を決めてからしばらくは、同じようなことをぐるぐる考えていました。特に、合格するかどうか分からない段階で誰かに知られてしまうことへの怖さは、正直かなり大きかったんですよね。
でも、冷静に整理してみると、怖さの正体は「バレること」そのものよりも、「自分でコントロールできない形で伝わること」にあるケースが多いのかもしれません。だとすれば、対策は一つです。伝わる経路を先に把握して、自分から主導権を握っておきましょう。
実際に職場に伝わる経路を整理する
在職中の受験や転職が職場に伝わる経路は、だいたい3つに整理できます。受験中から伝わる可能性があるものと、退職を伝えたあとの手続きで伝わるものがあるので、分けて理解しておくと安心です。
① 在職照会
採用側が、応募者の在籍状況を勤務先に確認する仕組みです。詳しくは次の章で説明します。
② 噂
面接や試験のための休みが続いたり、雰囲気が変わったりすると、同僚が気づくことがあります。これは仕組みというより、人間観察の結果です。隠しきろうとするより、聞かれたときにどう答えるかを決めておくほうが現実的です。
③ 住民税の手続き
退職を伝えたあと、住民税の納め方を切り替える手続きが発生します。給与から天引きされる「特別徴収」を続ける場合、勤務先の経理担当が「給与所得者異動届出書」という書類を使って手続きすることになります。
このとき、上司には転職の意向を話していても、経理担当までは「転職先の具体的な名前」を伝えていなかった、ということもあるはずです。この情報が、事務手続きの中で伝わってしまう場合があります(出典:doda 特別徴収の仕組み、2026年7月時点)。転職先を知られたくないなら、いったん自分で納める「普通徴収」に切り替える方法もあります。気になる人は、退職の手続きを進めるタイミングで、経理担当に直接相談しておくと安心です。
この3つのうち、いちばん不安に感じやすいのが①の在職照会だと思うので、次の章で詳しく説明します。
在職照会とは何か
在職照会(ざいしょくしょうかい)とは、採用する側が、応募者が実際にその会社や役所に勤めているかどうかを、勤務先に確認することです。経歴を偽って応募する人がいないかを確かめるための、採用側の一般的な手続きだと考えてください。
ここで大事なのは、確認の方法が一つではないという点です。
たとえば、採用がほぼ決まった段階で、応募者本人が自分の勤務先に「在職証明書」の発行を依頼し、それを提出する形を取る場合があります。証明書の発行を頼む時点で採用はほぼ確定しています。だから、受験していたこと自体が職場に大きなダメージを与えるケースは少ないと言われています(出典:在職中でもバレない転職活動、2026年7月時点)。
一方で、採用側から勤務先へ直接連絡が入るケースがあると聞くこともあります。
僕自身も、親しい同僚には受験前から話していました。ただ、職場の上のほうには、合格が決まってから伝えました。受験先の自治体から在職先に連絡が入る場合があると聞いていたので、いずれは職場に伝わるだろうという前提で動いていました。
扱いは自治体や状況によって差があります。だから、「絶対に隠し通せる」という前提で動かないほうが安全です。伝わる可能性を織り込んだうえで、伝える順番を自分で設計しておく。これが、この記事でいちばん伝えたいことです。
伝える順番の逆算タイムライン
順番を考えるとき、基準にすると分かりやすいのが入庁日です。入庁日から逆算して、次の5つのフェーズで考えます。
- 家族への共有:合格発表から1週間以内を目安に、家族やパートナーと意思を最終確認する
- 直属の上司に伝える:入庁の2〜3ヶ月前までに、口頭で退職の意向を伝える
- 退職願の提出と引き継ぎ準備:入庁の2ヶ月前ごろ
- 引き継ぎの本格化と有給調整:入庁の1〜1.5ヶ月前ごろ
- 最終週の仕上げ:貸与品の返却や各種手続きの確認
このうち特に大事なのが②です。民法上は、退職日の2週間前に申し入れれば退職できるという最低ラインがあります。ただし、これはあくまで「間に合わないときの安全網」であって、最初から狙う日程ではありません。引き継ぎや有給消化のことを考えると、2〜3ヶ月前に伝えるほうが、お互いにとって無理のない進め方になります。
この逆算の考え方をもとに、合格発表日か入庁予定月を入れるだけで、自分専用のタイムラインを作れるツールも用意しています(近日、当ブログで公開予定です)。
親しい人には先に、正式には合格後に
「誰に、いつ伝えるか」で迷ったら、次の考え方が一つの目安になります。
- 親しい同僚:受験前や受験中でも、信頼できる相手になら話しておいて構いません
- 直属の上司や職場の正式な窓口:合格が決まってから、自分の口で伝える
なぜこの順番がいいかというと、正式な報告を先にしてしまうと、まだ受かるかどうか分からない段階で職場との関係に変化が生まれてしまうことがあるからです。逆に、親しい人にだけ先に話しておくと、いざというときに相談できる相手ができます。正式な報告のタイミングも、自分でコントロールできます。
もちろん、これは絶対のルールではありません。職場の雰囲気や、自分と上司との関係によって、最適な順番は変わります。大事なのは、「誰から伝わってもいいように、伝える順番を先に決めておく」という考え方そのものです。
嘘はつかない
最後に、原則を一つだけ確認しておきます。それは、嘘はつかないということです。
これは「全部を自分から話す」という意味ではありません。聞かれていないことは、言わなくていいということです。
たとえば、「最近忙しそうだね」と聞かれたときに、「実は公務員試験を受けていて」と自分から詳細を説明する必要はありません。「ちょっと私用が立て込んでいて」で十分です。一方で、直属の上司から正面から「転職を考えているのか」と聞かれたときに、明確に嘘をつくのは避けたほうがいいと思います。答えをはぐらかすことと、事実を否定することは、まったく別の行為です。
聞かれていないことは話さなくていい。でも、正面から聞かれたときに嘘は言わない。この二つを分けて考えておくと、余計な罪悪感を抱えずに受験を進められます。
おわりに
在職中の受験は、後ろめたいことではありません。今の仕事を続けながら、次の選択肢を探しているだけです。
不安の正体は、「バレること」よりも「伝わる順番をコントロールできないこと」にあることが多いです。だから、伝わる経路を知り、逆算のタイムラインを先に作っておく。それだけで、気持ちはずいぶん軽くなるはずです。
あなたはすでに、今の仕事をきちんと続けながら、次の一歩を考えられています。それだけで十分なスタートです。
いま、いちばん誰に伝えるタイミングで迷っていますか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。