緊急消防援助隊の出発式は必要か?
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この記事は、消防の現場で働く方や、消防の仕事に関心のある方に向けて書いています。緊急消防援助隊の出発式をめぐって意見が分かれたので、元消防士として思うところを書きました。組織のなかで感じる違和感を、どう言葉にするかという話でもあります。
先日、こんな投稿が話題になっていました。
首長さん、署長さんへ。 何度でも言います。緊急消防援助隊の出発式は不要です。 街が焼かれてるのに訓示とかしてる場合じゃないでしょ。 訓示終わってから緊急走行? 管轄内の火災で署長訓示の後に出場とかしませんよね?他所の管轄だから演出を優先するの? 特に「映える写真」とかマジいらん。
これに対して、
一刻を争う事態でも状況が分からないまま災害に向かって行けっていう事でしょうか?
出発時に訓示込みで点呼して人員確認をしてるんだが。 (わしらインフラ系も災害復旧の応援に出るとき出発式やって人員確認やってた) 出るときの人数と帰ってきたときの人数が合わない事もあるんだぞ災害派遣の現場は。
出ていった人間の数を数えて送り出し、帰ってきた時にちゃんと全員揃っているか?を確認するためにある 自分は所属してる消防団でそう教わったんだが……この人はどこの方なんでしょうねぇ
自治体が応援部隊を送りましたアピール
意味がない
など、いろいろな意見が寄せられていました。
以下に、僕の考えを書きます。
その前に、僕の立場をはっきりさせておきます。
僕は消防士として15年、現場にいました。ここで書く違和感は、外から眺めて思いついたことではありません。当務のなかで実際に感じていたことです。
そして僕は、この手の慣習を中から変えることができませんでした。だから外から変えるほうを選んで、在職のまま試験勉強をして市役所に移りました。その経緯は消防士から公務員(行政職)への転職に、移ったあとで給料と休みが実際どう変わったかは手取りは26万から24万になりましたに書いています。
災害対応における出発式の役割とは
災害発生時に全国の消防機関から派遣される緊急消防援助隊は、被災地での救助や支援活動に不可欠な存在です。
総務省消防庁によると、緊急消防援助隊は、大規模災害時に消防庁長官の求めまたは指示を受け、全国から被災地へ集中的に出動する仕組みです。出典:令和6年版 消防白書「緊急消防援助隊」(2026年8月確認)
しかし、出発前に行われる「出発式」について、「時間をかけるより、できるだけ早く現場に向かうべきではないか」という意見もあります。
一方で、出発式には一定の意義もあります。本記事では、出発式の目的を整理し、最小限の時間で効果的に実施する方法について考えてみます。

出発式の目的
1. 隊員の士気を高める
隊員たちは過酷な環境で活動することになります。出発前に訓示を受けることで、「自分たちは使命を持って出動する」という意識を強く持つことができます。
2. 安全管理の最終確認
現場では迅速な判断と行動が求められます。出発前に安全管理や連携の確認を行うことで、スムーズな活動につながります。
ちなみに、
人員把握も兼ねている→とっくに済ませてるから意味ないだろ
という意見もありましたが、再度、点呼を取る方がミスを減らせるので、僕は点呼は必要だと考えています。
済ませているから大丈夫、と思っている時にミスは起こるものです。
3. 関係者や地域住民への意思表明
これが一番の目的ではないかと、僕は思っています。
出発式は、隊員だけでなく、派遣元の消防機関や地域住民にとっても、「被災地を支援する」という決意を示す場になります。特にメディアが取材する場合、出発式を通じて国民への情報発信にもなります。
少数派だとは思いますが、派遣で人員が減ったその地域の防災力は落ちるので嫌がる住民がいるかもしれません。しかし、使命感のある仕事だと組織全体が後押しすることで理解を得られる可能性もあります。
出発式に反対意見もありますが、今回物議をかもしたツイートを見る限り、賛成派が多いと感じたため、費用対効果は抜群にあると感じました。
迅速な出動とのバランス
出発式の目的自体は否定できません。しかし、長時間の訓示や形式的なセレモニーが本当に必要かどうかは、慎重に考えるべきです。
災害発生直後は、時間との戦いになります。1分1秒が生死を分けることもあるため、出発式が長引くことで到着が遅れるのは本末転倒です。
総務省消防庁は、緊急消防援助隊について「迅速な出動が欠かせない」としています。遠方からの長距離移動であっても、出発式の10分を一律に「誤差」とは扱えません。式を行うなら、必要な確認を短時間で済ませ、出動を遅らせない運用が前提だと考えます。
再度になりますが、3. 関係者や地域住民への意思表明をするための時間と考えれば費用対効果は十分と考えます。

必要最小限の出発式で迅速な出動を実現する方法
出発式の時間を5〜10分程度に短縮
- 上層部の訓示は短く、端的にまとめる
- 「安全第一」「迅速な活動を」など、必要なメッセージのみ伝える
- 整列や写真撮影は最小限にし、メディア、SNSに向けた広報活動は後ほど行う、または広報担当に任せる
事前にオンラインや書面でメッセージを共有
- 詳しい訓示は事前に隊員へ配布するか、移動中に済ませる
- 出発直前の式では、簡単な激励と確認のみ
まとめ
出発式が完全に不要とは言えませんが、災害支援で最も重要なのは「できるだけ早く被災地に到着し、支援を開始すること」です。
そのためには、出発式の目的を理解しつつ、最小限の時間で効果的に実施する工夫が求められます。
迅速な行動を最優先にしながらも、士気を高め、安全を確保するための効率的な出発式の形を考えていくことが重要です。
と、長々述べましたが、緊急消防援助隊の派遣は稀ではないものの、日常の業務ではありません。
マニュアル化するより、その場、その時代の価値観にあった臨機応変な対応が必要です。
僕は、数分程度の出発式ならやるべきで、段取りを含めて数時間拘束されるなら不要。
という考えです。
派遣された皆さんの活躍と無事を祈っています。
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