教養試験とSPI3・SCOAはどう違う?62自治体を数えたら、従来型の教養試験は6件だけでした
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経験者採用の1次試験がどんな中身か、各自治体の受験案内を62自治体ぶん開いて数えてみました。
従来型の教養試験を課していたのは、6自治体だけでした。
僕は消防士を15年やって、そのあと市役所でも働きました。全国67自治体の経験者採用を調べて「受けられる自治体診断」というツールを作っています。冒頭の数字は、そのツールを作る途中で数えたものです。
数えた結果を最初に
- 62自治体のうち、従来型の教養試験は6件だけ
- SPI3・SCOAの名指しが45件。適性検査型まで含めると82パーセント
- 型は年度で変わる。熊本県は令和8年度からSPI3になった
結論:勉強を始める前に、どの試験を受けるのかを確かめてください
参考書を買う前に、志望先の受験案内を開いてほしいのです。
型が違えば、教材も時間配分も別物になります。数的処理を何か月も勉強してから、志望先の1次がSPI3だったと知る。逆に、SPI3の対策だけ進めてから、志望先が従来型の教養試験だったと気づく。働きながらの限られた時間で、この手戻りは痛すぎます。
教養試験の勉強が無駄だという話ではありません。ただ、順番だけは間違えないでほしいのです。
先に型を確かめる。対策はそれからで間に合います。
3つの型は、こう違う
経験者採用の筆記試験は、大きく3タイプに分かれます。
| 従来型の教養試験 | SPI3 | SCOA | |
|---|---|---|---|
| 正体 | 公務員試験用の択一式試験 | 民間企業で広く使われる適性検査 | 民間の基礎能力検査 |
| 出題分野 | 知能(数的・判断・文章理解)+知識(人文・社会・自然・時事) | 言語・非言語の2分野が中心 | 言語・数理・論理・常識・英語の5分野 |
| 時事・知識問題 | 出る | 能力検査には出ない | 常識分野で理科・社会が出る |
| 受け方 | 指定された試験日に会場で受けるのが中心 | テストセンターで日時を選べる方式が中心 | テストセンター方式が中心 |
| 対策教材 | 公務員試験用の参考書 | 市販のSPI3対策本 | 市販のSCOA対策本 |
ざっくり言うと、範囲がいちばん広いのが教養試験、いちばん絞られているのがSPI3、その中間がSCOAです。
SPI3の中身と対策はSPI3対策の記事に、SCOAはSCOA対策の記事に、それぞれ詳しく書きました。この記事では「どれを受けるのか」の見極めに絞ります。
62自治体を数えた結果。教養試験は6件、SPI3が36件でした
「受けられる自治体診断」に収録している67自治体すべての受験案内を、2026年8月に1件ずつ開いて確認しました。そのうち令和8年度に一般事務・行政の枠があったのは62自治体です。除いた5自治体は、岩手県(公務員経験に限る区分のみ)・静岡県(技術系7区分のみ)・沖縄県(心理・社会福祉・土木・建築・農業土木の5職種のみ)・京都府(総合土木のみ)・宮城県(技術系と保健師のみ)で、いずれも令和8年度は事務の募集がありませんでした。分類は第1次試験の方式です。なお、この記事の初版では61自治体を対象に「教養試験は3件」と書いていましたが、その後に全件を受験案内で確認し直した結果、名称と中身が食い違う自治体(宮城県の「教養考査」は職務能力試験、福岡市の「教養試験」はSPI3など)が見つかったため、数字を上のとおり訂正しました。
| 第1次試験の方式 | 自治体数 |
|---|---|
| SPI3 | 36 |
| SCOA | 9 |
| BEST-A | 3 |
| 自治体独自の適性検査(職務能力試験など) | 3 |
| 従来型の教養試験 | 6 |
| 書類選考のみ | 4 |
| 論文のみ | 1 |
SPI3とSCOAを名指ししている自治体は、合わせて45件でした。62自治体の73パーセントにあたります。BEST-Aと自治体独自の適性検査を足すと51件で、82パーセントが適性検査型ということになります。
「公務員試験イコール教養試験」というイメージは、少なくとも経験者採用に関しては、もう実態と合っていません。
年度によって方式が変わる自治体もあるので、この数字は目安として見てください。
自治体側も「公務員試験の対策は要らない」と言い始めています
横浜市は、社会人採用試験の記者発表資料にこう書いています。
第一次試験をSPI3で実施するなど、特別な公務員試験対策は不要です。転職を考えている方も受験しやすい試験です!
(横浜市記者発表資料・令和7年度横浜市職員(社会人)採用試験より)
熊本県の民間企業等経験者対象試験も、令和8年度の1次は基礎能力検査(SPI3)のテストセンター方式でした。京都市の経験者採用も、三重県の民間企業等職務経験者試験も、同じくSPI3のテストセンター方式で実施されています。
働きながらの人に「準備の重い試験」を課すと、受けに来てもらえない。自治体側がそう考え始めているのだと、僕は受け取っています。
それでも教養試験は残っています。特に特別区
一方で、従来型の筆記を課す自治体も確かにあります。特別区・千葉市・仙台市・愛知県・川崎市・浜松市の6自治体で、いずれも40問から50問の択一式を2時間前後かけて解く形式でした。このほかに、鳥取県・岡山県・広島県の3自治体が自治体独自の適性検査(職務能力試験など)を課しています。
代表格が特別区(東京23区)です。令和8年度の経験者採用(1級職)の教養試験は、五肢択一式で45題中35題解答、試験時間は1時間45分。知能分野24題が必須解答で、重心は数的処理・判断推理・文章理解にあります。
同じ受験案内に、こう書かれています。
教養試験の成績が一定点に達しない場合、論文は採点の対象となりません。
つまり教養試験は足切りで、1次の合否そのものは論文の総合成績で決まる仕組みです。満点を狙う試験ではなく、基準を越えるための試験だと分かって臨むと、対策の力の入れ方が変わります。
ほかにも、川崎市は1次が教養試験(2026年10月18日)ですし、愛知県の3月募集も教養試験(択一式40題)です。名古屋市は教養試験ともSPI3とも違う、独自の「職務能力試験」(択一式60問・60分)を課していました(令和7年度実績。令和8年度はSPI3のテストセンター方式に変わると市が予告しています)。岡山県と広島県も、論文などと同じ日に職務能力試験を実施する形です。仙台市と北九州市は、受験案内に「筆記試験」とだけ書かれていて、中身までは公表されていません。 なお、区分名だけでは型を判断できません。福岡市は区分名が「教養試験」ですが、中身はSPI3の基礎能力検査です。逆に奈良県は「教養・専門試験なし」と明記しています。
志望先がこの型だった人は、教養のみで受かるための勉強法を読んでみてください。
僕の場合。使った本は3冊でした
僕が市役所の対策で実際に使ったのは、『これが本当のSPI3だ!』『これが本当のSCOAだ!』、それと『速攻の時事』の3冊です。
市役所は、本命のほかにも受けました。SCOAがどういう試験なのか見てみたかったのと、本番の練習のつもりです。本命の試験には教養試験があり、練習で受けたほうがSCOAでした。
SPI3の対策本を使ったのは、本命のためです。教養試験とSPI3は問われる中身が重なるので、そのまま練習になりました。というより、僕は受けるまでこの2つをはっきり区別できていなかったほうです。この記事を書こうと思ったのは、そこが理由でもあります。
結果を書いておきます。本命には受かり、SCOAの自治体は落ちました。模擬では8割取れていたのに、テストセンター形式に慣れていなかったぶんで遅れをとりました。
適性検査の対策本が2冊になったのは、本命のほかにも受けたからです。本命だけなら、片方は要りませんでした。
勉強時間は、当直明けの2〜3時間が中心でした。当務中のスキマ時間にできたのは、単語の確認くらいです。
もし方式を調べずに、教養試験の全範囲を相手にしていたら。あの生活の中では、たぶん持たなかったと思います。
実際に使った3冊です。いずれも最新版のリンクを置いておきます。
見分け方は簡単です。受験案内の「試験方法」を見るだけ
今日の持ち帰りです。5分でできます。
1. 志望自治体の採用ページで、最新年度の受験案内(PDF)を開く
2. 「試験方法」「試験種目」の欄で、1次試験の名前を確認する
3. 「SPI3」「SCOA」「テストセンター」とあれば民間型。「教養試験」「択一式」とあれば従来型
4. 必ず今年度の案内で確認する(熊本県のように、年度で方式が変わった例があります)
複数の自治体をまとめて比べたい人は、受けられる自治体診断を使ってください。年齢と職歴を入れると、応募できる枠と申込締切が一覧で出ます。
よくある質問
Q. 教養試験とSPI3、両方の対策が必要になることはありますか?
併願先に両方の型が混ざると、あり得ます。SCOAとSPI3が混ざる場合の考え方はSCOA対策の記事に書きました。併願の組み立て自体は併願の記事が参考になると思います。
Q. 3つの中で、どれが一番受かりやすいですか?
範囲が狭いのはSPI3です。ただ、受かりやすさは倍率や他の試験科目で決まるので、「SPI3の自治体だから楽」とまでは言えません。
Q. 去年は教養試験だったのに、今年SPI3に変わることはありますか?
あります。熊本県は令和8年度からSPI3になりました。去年の情報で勉強を始めず、必ず今年度の受験案内で確かめてください。
Q. 「特別な対策は不要」なら、勉強しなくていいのでしょうか?
出題形式への慣れは必要です。横浜市の文言は「公務員試験専用の勉強が要らない」という意味だと僕は読んでいます。市販本を1冊回すくらいの準備は、しておいて損はありません。
▶ 従来型の教養試験を課す数少ない自治体のひとつが特別区です。その出題内訳を公式の問題冊子から数えた結果を特別区経験者採用の数的処理は16問にまとめました。
▶ 志望先の方式ごとに何をやるべきかは、経験者採用に数的推理は必要かにまとめました。自治体名の全リストもそちらに載せています。
おわりに
「公務員試験の勉強」と聞くと、分厚い参考書の山を想像して、始める前に気持ちが折れそうになります。
でも、経験者採用のあなたが戦う相手は、たぶんその山ではありません。62自治体のうち、従来型の教養試験を課していたのは6件だけでした。型さえ間違えなければ、働きながらでも十分に間に合う範囲です。
あなたの志望先は、どの型でしたか。今日、受験案内を開いて確かめるところから始めてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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