【消防の業務外】野良猫レスキューで 119 番を押す前に立ち止まろう
【消防の業務外】野良猫レスキューで 119 番を押す前に立ち止まろう

あにたろ
この記事は個人的な主観で書かれています。実際に出動した消防機関、通報した人を乏しめる為のものではありませんが、通報する前に考えて欲しいことを書きました。
また、消防本部によって方針が違うグレーな部分のある課題だと思います。
1|消防の業務を改めて確認しよう
結論から先に
消防法・消防組織法には「国民の生命・身体・財産を保護する」と明記されています。
ここでいう「財産」は所有者がいる有体物のこと。飼い主がいない野良猫(=無主物)は対象外なので、消防の本来業務には入りません。
2|野良猫は「無主物」――法律上はまだ“誰のものでもない”
- 民法239条は「所有者のない動産は、占有した者が所有権を取得する」と定めています。
- 飼い主のいない猫は、現時点では誰の財産でもありません。
- そのため 「財産保護」の枠から外れ、消防出動の法的根拠が乏しいという位置づけになります。
3|119番をためらったほうがよい5つの理由
①人命救助が遅れるリスク
出動件数が増え続ける中、動物対応で部隊が塞がると、本来優先すべき人命対応が後回しになる恐れがあります。
② 装備とスキルのミスマッチ
猫の保護には専用の捕獲器具や動物行動学の知識が必要です。慣れない方法で挑むと、猫も隊員もけがを負うリスクが高まります。
③ 税金の使い道として説明しにくい
法的根拠が弱い案件に公費を充てると、住民へ説明しづらく、行政への信頼にも影響します。
④ 動物咬傷の危険
パニック状態の猫は咬みつきや引っかきを起こしやすく、受傷した隊員に狂犬病やパスツレラ症など感染症のリスクが生じます。
⑤ 一時的な救助では根本解決にならない
保護後の引き取り先がない場合、愛護センターの収容数が増えるだけ。レスキューを要請した本人が引き取らなければ、余程運が良くない限り安楽死コースです。
自分は野良猫は不幸な猫なので居なくなるべきと思っていますが、レスキューを要請した人は生きて欲しいから要請したはず。本末転倒です。
4|まず相談したい窓口と代替手段
優先度 | 連絡先・手段 | 主な役割 |
---|---|---|
① 動物愛護センター | 動物愛護法に基づく一次窓口。負傷した猫の保護・治療手配、譲渡先探しまで対応 | 収容・治療・譲渡 |
② 地域猫ボランティア/NPO | 捕獲器の貸出や TNR(捕獲→不妊手術→リリース)を実施。行政と連携して地域猫を管理 | 捕獲・TNR・里親探し |
③ 民間業者(高所・配管など) | 高所作業車や専門機材で安全に救出。有料だが迅速・確実 | 専門機材による安全救助 |
5|まとめ ―― 119 番は“最後のカード”として残しておこう
- 消防は「人の生命・財産」を守る専門機関です。
- 無主物である野良猫は“財産”に含まれないため、消防の業務外と位置づけられます。
- この限られた消防リソースを人命に充てるためにも、まずは動物愛護センターや地域ボランティアに連絡するのが現実的です。
- どうしても他に手立てが無い時は、まずは要請でなく問い合わせて指示を仰ぎましょう。
「助けたい」という気持ちを、適切な窓口に届けることが、猫にも人にもいちばんやさしい選択と言えるでしょう。


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