公務員試験、教養のみで受かるための勉強法|社会人が現実的に対策する順番
「教養のみ」で受けられる試験があると知って、少しほっとした人もいると思います。専門試験がないぶん、働きながらでも現実的に見えてくるからです。
僕は元消防士として15年働き、その後市役所勤務も経験しました。消防の24時間勤務を続けながら、市役所の採用試験に独学で半年間取り組み、1回で合格しています。僕が受けたのも、教養試験の代わりにSPI3・SCOA型の適性検査を課す、専門試験のない区分でした。
この記事では、教養試験の中身、教養のみで受けられる枠が増えている背景、配点の重心をどこに置くべきか、そして働きながらの進め方までを整理します。「範囲が狭いから楽」という話ではなく、「どこに時間を寄せるかが分かれば戦える」という話として読んでもらえたらと思います。
この記事でわかること
- 教養試験(一般知能・一般知識)の中身と、専門試験との違い
- 教養のみで受けられる枠が増えている背景(SPI3・SCOAへの置き換えも含む)
- 配点の重心がどこにあるか、時間をどこに寄せるべきか
- 一般知識を「全部やらない」ための判断基準
- 働きながらの進め方と、過去問の回し方
結論から言うと。教養のみは現実的、ただし「狭い」わけではない
先に結論です。専門試験がない「教養のみ」の試験は、働きながら受けるうえで現実的な選択肢だと思います。専門科目の勉強がまるごと不要になるぶん、対策する科目数が減るからです。
ただし、「範囲が狭いから楽」と思い込むのは危険です。教養試験のうち一般知識分野は、社会科学・人文科学・自然科学と、それだけでかなり幅広い範囲をカバーします。狭いのではなく、「広い範囲の中で、配点の重い部分に絞れる」というのが正確な言い方だと思います。
この「絞り方」を知っているかどうかで、働きながらの勉強時間の使い方はまったく変わってくるはずです。
教養試験とは、そもそも何なのか
教養試験は、大きく分けて「一般知能」と「一般知識」の2つの分野で構成されています。
一般知能は、数的処理(算数・数学のパズルのような問題)と文章理解(現代文・英文の読解)が中心です。知識の暗記ではなく、その場で考えて解く力が問われます。
一般知識は、社会科学(政治・経済・社会など)、人文科学(日本史・世界史・地理・思想など)、自然科学(物理・化学・生物・地学など)、そして時事から出題されます。こちらは、覚えていないと解けない知識問題が中心です。
専門試験がある一般採用では、これに加えて憲法・行政法・民法・経済学といった専門科目が課されます。教養のみの試験は、この専門科目がまるごと免除されている、とイメージすると分かりやすいと思います。
教養のみで受けられる枠が増えている背景
教養のみで受けられる枠は、ここ数年で増えている印象があります。理由のひとつが、SPI3やSCOAといった、民間企業の採用試験でも使われている適性検査への置き換えです。
もともとは新型コロナウイルスの影響で、市役所の採用現場でもオンライン化が進んだことが背景にあるようです。「このような状況の中、小規模な市役所を中心にSCOA(スコア)が導入されている」という指摘もありました(出典:SCOAと公務員試験の違いは?、2026年7月時点)。
あわせて、地方自治体には多様な人材を確保したいというニーズもあるようです。「試験の形式も昔よりは多様化しています」という説明もありました(出典:SCOAと公務員試験、2026年7月時点)。民間企業を主に考えている人にも受験してもらいやすくする、という自治体側の狙いがありそうです。
自治体によって教養試験の形式は違います。従来型の教養試験なのか、SPI3・SCOA型なのかは、募集要項を見ないと分かりません。志望先を決めたら、まず試験形式を確認するところから始めてください。
配点の重心は、数的処理と文章理解にある
時間を寄せるべき場所は、はっきりしています。数的処理と文章理解です。
「一般知能は、数的処理・現代文・英文の3科目だけなのにもかかわらず、教養択一試験全体の5〜7割も占めます」という指摘があります。出典はアガルート「一般知能とは」(2026年7月時点)です。
具体例として、国家一般職の教養択一試験は出題数30題のうち、数的処理が14題、文章理解が10題でした。あわせて24題、全体の8割にのぼります(同出典)。試験によって出題数は変わりますが、数的処理と文章理解の2科目だけで教養試験の大部分を占める、という基本構造はどの試験でもだいたい共通しています。
裏を返せば、この2科目に苦手意識があるまま試験日を迎えると、点数がかなり不安定になります。逆に、この2科目さえ安定すれば、合格ラインにぐっと近づきます。まずここから手をつけてください。
一般知識は、捨てる勇気を持つ
一般知識分野は、社会科学・人文科学・自然科学とジャンルが広く、真面目に全部やろうとすると時間がいくらあっても足りません。ここで必要なのは、「捨てる勇気」です。
判断基準は、次の3つで考えるとシンプルになります。
- 出題数が少ない科目は後回しにする。 1科目あたり1〜2問しか出ない分野に時間をかけるより、数的処理の演習に回したほうが効率的です
- 学生時代に得意だった科目だけ残す。 世界史が得意なら世界史、生物が得意なら生物、というように、ゼロから覚え直す科目を増やさないことがポイントです
- 時事だけは直前期に仕上げる。 時事は出題範囲が「今年」に絞られるので、費用対効果が高い分野です。直前の1〜2ヶ月に回しても十分間に合います
「一般知識を全部捨てる」という意味ではありません。優先順位をつけて、手を広げすぎないという話です。ここで浮いた時間を、数的処理と文章理解に寄せてください。
社会人枠(経験者採用)の試験構成や、申込から合格発表までの全体スケジュールについては、別記事でもう少し詳しく整理しています。
▶ 関連記事:社会人枠の公務員試験、独学で受かるまでのロードマップ|試験構成からスケジュール、対策の順番まで
働きながらの進め方。1日の細切れ時間をどう使うか
教養のみの試験は、専門試験のある試験に比べて必要な勉強時間が少なくて済む傾向にあります。目安として、教養試験のみの経験者採用・市役所試験などは300時間程度とされています(出典:アガルート「公務員試験の勉強時間とは?」、2026年7月時点)。
とはいえ、働きながらまとまった時間を確保するのは簡単ではありません。細切れの時間をどう使うかが鍵になります。
| 時間帯 | 使い方の例 |
|---|---|
| 通勤時間 | 文章理解の長文を1つ読む、または音声で時事ニュースに触れる |
| 昼休み | 数的処理を1〜2問だけ解く |
| 帰宅後 | まとまった時間で過去問演習、または一般知識の暗記科目 |
科目を時間帯にあらかじめ割り振っておくと、「今日は何をやろう」と毎回迷う時間が減ります。数的処理のようにその場で考える科目は、集中力が残っている時間帯に。一般知識のような暗記科目は、疲れていてもできるスキマ時間に。この振り分けだけでも、続けやすさがかなり変わってきます。
働きながらの勉強時間の目安や、平日・休日の配分については、別記事でさらに具体的にまとめています。
▶ 関連記事:働きながら公務員に受かるための勉強時間の作り方|必要な時間の目安と平日・休日の配分
過去問の回し方
教材選びで迷ったら、過去問を中心にした1冊(1シリーズ)を最後までやり切ることをおすすめします。あれこれ手を広げるより、同じ教材を繰り返すほうが定着しやすいからです。
回し方の目安としては、次の順番が進めやすいと感じます。
- 1周目:解けなくてもいいので、まず全体に触れる。分からない問題は解説を読んで、解き方のパターンを覚える段階
- 2周目:間違えた問題に印をつけて解き直す。ここで「毎回間違える問題」が見えてきます
- 3周目以降:印がついた問題だけを繰り返す。解ける問題を何度も解く必要はありません
数的処理は、同じパターンの問題が形を変えて出題されることが多い科目です。過去問を繰り返すことが、そのままパターンの暗記につながります。文章理解は、量をこなして読むスピードに慣れておくと、本番の時間配分が楽になります。
よくある質問
Q. 教養のみの試験に、専門科目の勉強はまったく不要ですか?
はい。教養のみの区分であれば、憲法や行政法といった専門科目は基本的に不要です。ただし論文や面接が別途課される自治体が多いので、募集要項で試験科目を確認してください。
Q. 一般知識を完全に捨てても大丈夫ですか?
おすすめしません。まったく手をつけないと、拾えるはずの得点まで落としてしまいます。「全部やる」のではなく「優先順位をつける」という考え方で臨んでください。
Q. SPI3・SCOA型と、従来型の教養試験、対策は変わりますか?
出題形式が違うため、対策する教材も変わってきます。志望先がどちらの形式かを、募集要項で必ず確認してから教材を選んでください。
Q. 独学で不安なときは、どうすればいいですか?
苦手分野だけ予備校の単科講座を使う、という方法もあります。独学の全体的な進め方については、別記事でも整理しています。
自分の残り時間を、数字で見てみる
ここまで読んで、「自分の場合、時間は足りるんだろうか」と気になった人もいると思います。そこで、無料ツールを作りました。試験日と平日・休日に取れる時間を入力すると、目安の勉強時間に対してどれくらい足りているか、科目ごとの時間配分の目安まで一緒に出してくれます。「働きながら合格 逆算スケジューラー」です。
「教養のみ・SPI/SCOA型」を選ぶと、この記事で扱った数的処理・文章理解を中心にした時間配分の目安が表示されます。あくまで一般的なモデル値であり、合格を保証するものではありません。計画を立てるための、たたき台として使ってください。
※このツールは近日、当ブログで公開予定です。公開したら、この記事にもリンクを追加します。
おわりに
教養のみの試験は、専門科目がないぶん、働きながらでも十分に狙える試験です。ただし、範囲が狭いわけではありません。数的処理と文章理解に時間を寄せて、一般知識は優先順位をつけて絞る。この2つを意識するだけで、限られた時間の使い方がはっきりしてくるはずです。
まずは、自分が受けたい試験の形式(従来型かSPI3・SCOA型か)と出題科目を、募集要項で確認するところから始めてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。あなたの勉強時間が、少しでも的を絞りやすくなりますように。